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2017.01.10更新

今年もよろしくお願いいたします。

 

さて、昨年の法律業界(さらにいえば相続弁護士界隈)の重大ニュースは、なんといっても預貯金に関する判例変更です。
大法廷は、それまでの「遺産分割において、預貯金は相続分に応じて分割される」というものから、「預貯金も遺産分割の対象になる」というものに変更しました。

 

これだけ読むと難しいですね。

 

実務的にいうと、以下の点が変わりそうです。

 

その1:金融機関の対応
(従来)金融機関に請求すれば、相続人同士の話合いがまとまらないうちでも、自分の相続分はもらうことができた
(今後)金融機関に請求しても、「相続人間の話合いがまとまっていないから、引出しには応じない」と言われることになると思われる

→亡くなった直後にお金が要るのに、、、、今まで以上に「亡くなる前の準備」が重要になりそうです。

 

その2:相続人間の差
(従来)他の財産や生前贈与等の兼ね合いで、相続人間の差が生じてしまう事案が見受けられた
(今後)多くの事案では、差が縮まることが予想される

→完全には解決しないですが、相続人間の差が縮まることは(特に生前贈与でくやしい思いをしている方には)朗報だろうと思います。ただ、「その1」の不利益を差し引きして余りあるかといえば微妙に思います。

 

なお、気になる方は以下のリンク先をご覧ください。
大橋元春裁判官の意見(「意見」というのは、結論は一緒だけど理由は異なる場合に付されます)が非常に参考になります。

 

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/354/086354_hanrei.pdf

投稿者: 彩の街法律事務所

2016.08.31更新

時間が空いてしまいました。今日は相続税の話です。

 

相続税は高い! そう漠然と考えていらっしゃる方が多いと思いますが、あながち間違いではないというのが、事件を扱ってきた中での私の印象です。
ただ、「高い」というより「恐ろしい」というのに近いでしょうか。

 

相続税は
①申告の場面
②税務署の調査の場面
が厄介です。

 

①申告については、期限に注意しつつ、申告に必要な資料を集めつつ、お金を用意しつつ・・・などなど、短期間にいろいろと対応することが多く、しかも相続人同士の足並みが揃わなかった日には非常に疲弊します。
②調査については、ある一定以上の金額になればほぼチェックが入ると思った方が良く、しかも申告後すぐに言われるわけでもないのでしばらく経ってから対応を迫られ、これまた疲弊します。

 

しかもしかも、税務署等の動きをみる限り、相続税は税務署が本気を出していると感じることが多く、慎重な対応が必要となります。

 

そこで、私は、相続税は税の中でも恐ろしいものの一つと考え、相続税が強い税理士と事件ごとに連携して処理をするようにしています。
最近では事務所内に税理士を入れているところもあるようですが、所内に入れてしまうと責任の所在があいまいになり、ダブルチェックができなくなるという不安から、私は「外部連携」にこだわっています。

 

なお、最近では、「すでに税理士さんの知り合いがいる」という方も増えてきています。
そのような場合は、当方で用意する税理士にこだわることなく、その税理士の先生と連携をとって進めています。

 

相続税をなめてかかると恐ろしいことになります。そこで私は、外部の税理士の先生にきちんと確認を取りながら適切な処理を心がけています。

投稿者: 彩の街法律事務所

2016.06.10更新

相続人に未成年者がいる場合、なんとなくそのまま協議に入ってしまうケースがあります。


ただ、それでは、正式な手続(例えば登記申請等)でははねられてしまうこともありますので、注意が必要です。

 

まずは大まかな当たりを付けた上で特別代理人を選任し(この段階で、信頼の置ける弁護士等を紹介することもあります)、分割協議を整えていきます。
特別代理人の選任は申立てまでが若干重たい手続なので(目録や案の作成が煩雑なことも多いです)、まずはご相談いただければ幸いです。

 

投稿者: 彩の街法律事務所

2016.02.17更新

遺言執行者という制度があります。
遺言書の内容を実現する役目を持った人のことで、遺言書で指定されていることが多いです。
「親の遺言を読んでみたら、遺言執行者というのになっていた。何をすればいいの?」という相談があるので、今日は遺言執行者の義務の1つである「相続財産目録調整義務」について、解説したいと思います。

 

遺言執行者は、遺言をした人が亡くなって自分が執行者になったら、すぐに相続財産の目録を作り、相続人に渡す義務があります。
不動産や預貯金など、調査して目録化する必要があるのです。
これはなかなか厄介です。

 

ただ、「遺言書の内容によっては、遺言執行者といえども目録を作成して渡す義務はない!」ということがあります。
それは、遺言書が「相続させる」という文言になっている場合です。実は、かなり多くの遺言書がこのような文言になっているので、実は目録作成・交付義務がないことも多いといえるのです。

 

例えば、「全財産を息子に相続させる」と書かれているとしましょう。
最高裁は、このような遺言書の場合、お亡くなりになったと同時に、当然に全財産が息子さんに移ると考えています。
そうすると、遺言執行者が遺産を移す手続を取る必要がなくなります。
イメージ的には、本来は「被相続人→遺言執行者→相続人」と遺産が移っていくから、どんなものを渡す必要があるかについて相続人に知らせるために財産目録が必要なのです。
ところが、「相続させる」遺言の場合、「被相続人→相続人」と移っていくので、遺言執行者を経由しません。したがって、相続人にどんな財産があるか知らせる必要はない(むしろもう遺産は移っているので執行者の出る幕がない)といえます。

 

以上を踏まえると、「目録を渡すのは大変だ」と思ったとしても、実はそもそも渡す義務がない場合が多いということです。
遺言書をみたら自分が遺言執行者になっていた、さあ大変だと思ったら、まずは当事務所にご一報ください。内容をよく拝見させていただいて、何をすべきか(何をしなくてよいか)をご説明いたします。

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.09.07更新

弁護士の神尾です。

 

今まで述べてきた自筆証書遺言に関する記事を、Yahoo知恵ノートにまとめました。

遺言書を書く際の一助になれば幸いです。

 

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n352807

 

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.07.15更新

今日で自筆証書の悪口は終わりです。

 

最終回は、「とにかく争いが起こるのは自筆のとき」ということ。

 

公正証書は、公証人の前で作っているので、問題になることは少ないです。

少なくとも、有効無効の問題にはなりにくい(中身で「あの人が多すぎる!」ということはしばしばですけど)。

 

自筆証書だと、「そもそも認知症で書けなかったでしょ」「別人が書いたのでは」などの疑心暗鬼が渦巻きます。

紛争が倍になるぐらいのイメージです。

少しでも争いを減らしたいなら、自筆証書は避けるべきです。

 

以上4回にわたって弱点をあげつらう記事を書いてきて、ちょっと疲れました。

それほど、争いの種になってしまう制度なのです。

それでもあなたは、自分で遺言書を書いてみますか?

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.07.14更新

2014年9月1日に当ブログでも「佐世保女子高生殺害事件はどうなっていくの」(その4)を更新し、

(医療)少年院送致になるだろうとしていました。

 

報道でも、医療少年院送致になったとのことです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150714-00000080-san-soci

 

この結論には賛否両論あるようですが、未成年の事件の場合には、どういった司法的結論になろうが、多かれ少なかれ更生が最終目標となります。

 

家裁の審判(逆送の場合は地裁の判決)は、そこで報道が打ち止めになることもあり、結論でありゴールであるかのように錯覚してしまいます。

しかし、あくまで更生へ向けてのスタートにすぎないということを理解する必要があります。

 

医療少年院がどういったところかは、機会があればご説明します。

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.07.13更新

本体のブログにいろいろ書いていたら、こちらを更新するのをすっかり忘れていました。

 

自筆証書の話をずっとしていましたね。

 

自筆証書遺言に限らない問題ではありますが、「共同遺言」は禁止されています。

 

「共同遺言」?はて?

 

これは、1つの遺言書に複数の人が遺言をしてはいけないという決まりです。

例えば、夫婦連名で遺言書を書いたら、この遺言書は無効になってしまいます(民法975条)。

 

この決まりは、自筆証書に限らず公正証書等遺言一般での禁止事項なのですが、公証人の前で作る公正証書遺言で共同遺言にしてしまうというミスは通常起こりえません。

したがって、共同遺言が問題になるもののほとんどは自筆証書の場合ということになります。

 

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.03.18更新

自筆証書遺言をお勧めできない理由を列挙するという唐突なこの企画、2回目です。

 

今回は、「訂正」の方法です。

 

前回は、パソコンを使わず全文を自分の手で書く必要があるといいました。

「そんなこと言われても、絶対間違えるよ!」とお思いの方、当然です。私も1行目から間違えます。

では、間違えてしまった場合、どう訂正すればよいのでしょうか。

 

民法では、以下の方法のみを規定しています。

 

968条2項

・・・変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければその効力を生じない。

 

何やらいっぱい条件が書かれています。

 

訂正が認められるための条件その1・その2:変更箇所の指示、変更した旨を付記

 

  「○行目○文字削除」などと、末尾や欄外に記載することが多いです。

  なお、実際の訂正方法は、二重線で削除する、吹き出しをつけて加筆するなどの方法をとります。

 

訂正が認められるための条件その3:署名

 

  「○行目○文字削除」などの近くに、署名をする必要があります。

 

訂正が認められるための条件その4:変更の場所に押印

 

  訂正印を押すイメージですが、遺言書で使ったハンコをなるべく用います。

 

面倒くさい!

無理!

やってられない!

 

という声が聞こえてきそうです。少なくとも私は1つ目の条件すらクリアできず断念です。

そんな方には、身も蓋もないアドバイスをすることになります。そう、「訂正など夢のまた夢、書き直しなさい」です。

 

なお、所定の方式を守れなかった訂正はどうなってしまうのかというと、訂正のみ無効(訂正がなかったことになる)と判断されたり、もとの文言を含めて無効(遺言しなかったことになる)と判断されたり、訂正のレベルに応じて様々です。

逆に言えば、「これは訂正のみ無効だ!」「いや全体が無効だ!」というような、新たな争いの火種になるということになります。

 

このように、訂正は、その方法が面倒なだけでなく、ミスがあった場合の争いも深くなるという点で、「書き直しさない」ということになります。

そして、さらに一歩踏み込むと、そもそも自分で書くからだよ、ということになるのです。

 

 

まだまだある自筆証書遺言のワナ。このシリーズ、もう少し引っ張ります。

投稿者: 彩の街法律事務所

2015.03.11更新

弁護士の神尾です。

 

遺言書は、大きく分けて自分で書くもの(自筆証書遺言)と公証人と協力して作っていくもの(公正証書遺言)の2種類があります。

遺言書の作成を依頼されることもありますが、私は今まで1件も自筆証書遺言を勧めたことはありません。

 

これから何回かに分けて、どうして自筆で遺言書を書いてはいけないのかを述べていきます。

 

第1回目は、「自筆」をする範囲についてです。

 

民法は、「自筆」について、以下のように定めています。

 

968条1項

・・・遺言者が、その全文、日付および氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

 

この条文から明らかなように、遺言書の「全文」を自分で書かなければなりません。

例えばパソコンで本文を作ってプリントアウトして名前を書いたものは、無効です。

 

訂正の仕方は後日に回を改めて説明するつもりですが、「全文」を手書きすると考えただけでも、気持ちが萎えます。

遺族に宛てた手紙ぐらいならまだやる気も起きますが、

不動産や預貯金をきちんと特定して(地番や口座番号等も通常記載します)、誤記もないようにして・・・

などと考えていくと、かなり「全文の自筆」というのはハードルが高いことが分かります。

 

このように、書く手間や誤記のリスク等を考えたとき、自筆証書遺言は止めた方がよいということができます。

 

次回以降もさらに、自筆証書遺言の面倒さを述べていきます。

これらの面倒さを耐えてがんばって作成してもなお、無効と主張されるリスクもあるというのが、最終的な結論になります。

 

では、もう何回かお付き合いください。

投稿者: 彩の街法律事務所

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